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午後は非番だったアルフォンスを郊外の自宅に送り届けるため、ブロッシュは車のハンドルを握った。 アルフォンスとロスが後部座席に乗り込んだ。
到着したのは街外れの古びた一軒家だった。しかし二階建てで、それなりにしっかりとした佇まいである。防風林のような木が家の周りを取り囲み、隣家は遠くに見えるだけだ。 アルフォンスは鮮やかな青を翻して車を降りると、待ちきれない様子で中に駆け込んで行く。ロスとブロッシュは苦笑しながら、ゆっくりとした足取りで後を追った。
コンフィデンス リエゾン 03
「『あれ』って将軍閣下のお力添えなんスか?」 執務室の窓が開けられ、その側でタバコを燻らせているのはハボックだ。視線は外だが、問い掛けられた人物はソファの縁に首を預けて瞑目していた。
「なぜ私に訊く」 ロイは気の抜けた声で答えた。 部屋に存在していたのは副官を含めての三人のみで、もちろん誰も咎める気はなかった。
「どうせ私は頼る価値もない大人だよ。全て事後じゃないか」 ため息をつく上司に、部下までため息をつかざるを得ない。 「そんなつもりで言ったんじゃないんスけど」 「いじけられても困ります」 休憩中も書類の整理をしていたリザがきっぱりと言う。
「エルリック兄弟については私もよく分かりかねますが、酌量と認識するのは間違いではないと思います。大総統閣下自らがお認めになったと聞いておりますから」 「じゃあ、上層部はみんな知ってるんスか!?」 「おそらくおじい様と大総統閣下だけだと思うけれど」
「軍はもちろん、『エドワード・エルリック』を知るものは少ないからな。国家錬金術師が『使えず』、陣なしで錬成を行えるほどの実力を持つ者がすり替えを望めば、軍にとっては願ったりだということか」 「軍に必要なのは大将じゃなくて『鋼の錬金術師』ってことスか」 「三つ編みの金髪と赤いコート、そして手を合わせるだけで錬成を行えることが『彼』のトレードマークだったからな」 「外見を似せることは容易いですが、あそこまでとは思いませんでした」 「俺も時々見間違えますよ。弟だからってだけとは思えないくらい」
「必死なんだろうな」
「家族を守るためですか?」 「そうだな。開戦の噂が絶えないこのご時世に、国家錬金術師を辞められるわけがない。無理に通そうとすれば全て暴かれる。表面は何事もなく収まっていれば、『兄』が危険にさらされることはない。そう考えたのだろう」 「それをあなたは許可した」 「私にできることがそれくらいしかなかったからだよ。始めは何もかもが唐突すぎて認めたくなかった。でも、アルフォンスがあまりに必死だったから……認めざるを得なかった」
時計の時刻がちょうど二時を指して、憂いの漂う話はそこで途切れることになった。
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