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02
ずきずきとした痛みで目を開けた。 とっさに頭は守ったのか、後頭部よりも肩やら腰やらがやたらと痛い。 無理やり身じろぎをすると、カーテンがシャッと開く。どうやら医務室に運ばれたらしい。
「マスタング大佐、気分はどうですか。吐き気がするとかは」 古株の軍医が脈を計っていると、医務室の扉が大きな音を立てて一人が入ってきた。
「っ大佐、一体どうしたんスか? 担ぎ込まれたって聞いたもんだから……」 先ほどと打って変わって、タバコを口端に加えたまま豊かな表情を見せている。胸倉を掴んでいた時とは大違いだ。 「大佐?」 こちらの沈黙に、不躾にも顔を覗き込んでくる。
「ほんと、どうしたんで? 何かこの世の終わりみたいな顔してますけど」
確かにこいつは嘘をつくのは下手だが、切り替えは恐ろしく早い。 そう納得して、前髪を掻き上げる。軍医は問題ないと言い残して奥の椅子に腰を下ろした。 こちらだって軍人だ。階段から落ちたくらいでそうそう大きな怪我などするか。
「ハボック、ホークアイ中尉を見かけたら謝っておいてくれ。先程はすまなかったと。私は少しおかしかったよう……」 「あの、中尉ならしばらく顔見せに来られないかと」 すまなそうに言うハボックに思い出した。そうだ。彼女は泣いていたんだ。人前に出られなくなるくらい泣いているのか。
「そうだったな」 嘆息するとハボックが首を傾げた。
「あれ? 大将達が来てたの言いましたっけ?」
なんだそれは。ついさっき言ったではないか。彼らはもういないと。目を覚ませと。何を言っているんだ貴様は。一体何がどうなって……。
ベッドから飛び降り、追いかけた声を無視する。何だか涼しいなと思ったら上着も着ておらず、シャツのボタンが数個外されていた。当然といえば当然だ。身体を休ませるために軍医がそうしてくれたのだろう。 向かった先は執務室だった。いつも彼らがいてくれた場所。
ばたんと大きな音を立てて、扉が開かれた。
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